人生は選択の連続だ。時には、何かを手にするために、何かを捨てなければいけない。誰かに救いや助言を求めることはできても、結局答えを決めるのは自分自身で、だからこそ、しっかりと地に足をつけて歩いていかなくてはいけない。目指すところへ、独りで生きていかなくてはいけない。
心があるから人は寄り添うんだけど、心があるばかりに人は孤独だ。ただみんな独りで生きていけるほど強くはないから、居場所を探す。その中で、たまたま進む道が同じ者同士が一緒に生きていく。
いくつも、いくつも過去を積み重ねてきて、やっと今があって。生きているのは間違いなく今だけど、その今もやがておとずれる未来の為の通過点で。生きた証を刻む為に、未来へ伝える為に、また歩き続ける。
人生は長い一本の映画だ。
人はそれぞれ自分の人生を生きていて、それぞれが自分の映画で主役を演じている。だから準主役級の出演者にも、脇役にも、エキストラにさえも、やっぱりそれぞれに一つずつの物語がある。
映画はどれもとても贅沢で、多くの豪華な出演者がいて、楽しかったり、悲しかったりするストーリーがいくつもちりばめられている。退屈なものがあって、とても刺激的なものがある。
惑い立ち止まり、入れ替わり立ち代り、出演者達はスクリーンの横に消えていく。
巻き戻すことは出来なくて、一時停止をすることも出来ないけれど、ただ確実に、その瞬間には誰かが銀幕の中で輝いている。
いくつかの映画が重なって、また離れていく。
俺の映画には何人の人が出たんだろう。どれだけの人が出番を待っているんだろう。
俺は何人の映画に出たんだろう。あとどれだけの映画に出ることが出来るんだろう。
またひとつ、音のない声が消える。