
音のない声は聞こえない。苦しみも孤独も助けを呼ぶ叫びも。心は人知れず崩れていく。音もなく。
長い学生生活を一緒に過ごした仲間達が、それぞれの道を歩き始めてから丁度1年が経った。仲の良い2-3人の近況をたまには聞いて、過去を懐かしんで未来を語って。進学、就職、方向転換。新しい環境に戸惑いはすれど、選んだ道で皆それなりにやってるもんだと思ってた。
ただどうやら、現実はそんなに甘くはないらしい。あいつならやっていける、あいつは大丈夫だ、ここは、そんなのが通用する世界じゃなかったみたいだ。
一昨日の昼、友人の変調を告げる電話があった。「ストレスのせいかもしれない。病院に行ったみたいだけど、大変らしい。」耳を疑った。
誰かが言ってた。『孤独は山になく、街にある。一人の人間になく、大勢の人間の"間"にある。』人は一人では生きていけない。共に泣いて、笑って、支え合って、助け合って、時に競って。そうやって、人は生きていくんだ。
不思議な時代だ。技術はどんどん進歩して、生活はなにもかも便利になっていく。ただ、人と人はどうだ?無機質な画面の向こう?無機質なスピーカーの向こう?いくら便利になったって、誰も救われないんじゃそんなもん意味がねえんだ。
電話の声が震えてた。そりゃそうだ。たった1年。たった1年だ!
誰が壊したんだ。
何が崩したんだ。